髪を切った。別に、大きく髪形を変えた、とかそういうわけではないけれど。
でも、なんとなく自分としては気に入っていると言うか。いい感じかな〜と思う。
だから、何気ないいつもどおりの朝なのに、少しそわそわしてしまう。



「おはよ。」

「おはよう。」



・・・・・・うん、わかってたけどね!日吉が何か言ってくれるわけないって!
でも、ちょっと期待してしまったって仕方ないでしょ。



「なんか、今日は昨日より寒いね。」



気恥ずかしくて、わざと全く違う話を始めてしまった。



「そうか?」

「あれ、そうでもない?」



髪を切ったせいで、そう感じるのかな・・・・・・。
って、そんなに切ったわけじゃないし!
しかも、結局髪型の話題にしてしまいそうになってるし!



「気のせいかな。まあ、毎日寒いよね〜。」



何とか誤魔化そうとしたけど、日吉は少し怪訝な顔をしていた。
でも、特に何かを聞かれることはなく、いつもどおりに登校した。

朝練を終え、それぞれの教室に向かう。
日吉とはクラスが違うから、放課後まで話す機会はない。



「はよー。」

「おはよー。・・・・・・あれ、、髪切った?」

「あー、うん。」

「似合ってるよ。」



自席に向かうと、前の席のが笑顔でそう言ってくれた。
さすが、



「ありがと。」

「・・・・・・の割には、あんまり浮かない顔だね?気に入ってないの?」

「いや、そうじゃないよ。」

「じゃあ、どしたの?何かあった?日吉くん?」

「・・・・・・は何でもお見通しだね・・・・・・。」

の気分に大きく影響するのは、大体日吉くん絡みだしね。」

「おっしゃりとおりです・・・・・・。」

「で、何?」



大したことではないけれど、と前置きをして、朝からの話をした。



「まあ、わかるけど・・・・・・それは難しいでしょ。」

「まあね。男子は女子より、こういうの気づくの少ないみたいだし。気づいてても言いにくかったりするだろうし・・・・・・。」

「わかってるけど、期待しちゃって、勝手にちょっと凹んじゃってる、と・・・・・・。」

「は、はい・・・・・・。」

「それ、日吉くん、可哀相じゃない?」

「!!そ、そうだよね・・・・・・。」

「日吉くんだって、いつもの可愛い笑顔のが見たい、って!」

「ひ、日吉はそういうんじゃ・・・・・・!」

「照れない、照れない〜!」



がそんな風に言ってくれたおかげで、あまり気にならなくなった。
まあ、どうしても言ってほしいわけじゃなくて、何かあれば嬉しいな、ってだけだったしね。

それから1週間。
部活の休憩中、ふと日吉と目が合った。
たまたま周りには誰もいなくて、妙にドキリとした。



「・・・・・・やっぱり、いいな。」

「へ??」

「髪、それぐらいが似合ってるんじゃないか?」

「っ!!」



な、なんで、突然!!
自分の中では、もうすっかり忘れていた。
それなのに・・・・・・「やっぱり」って・・・・・?



「気付いてたの・・・・・・?」

「当たり前だろ。俺、言わなかったか?」

「言ってない、言ってない!今日、初めて聞いた!」

「そうか。」



日吉はあっさりそう言ったけれど・・・・・・こっちはもうドキドキだよ!
だって、「やっぱり」ってことは、ずっとそう思っててくれてた、ってことだよね?
嬉しすぎる!!



「あ、ありがとね。」



あぁ、ダメだ・・・・・・。
嬉しくて、恥ずかしくて、まともに日吉のことが見れない・・・・・・!
急いでこの場から立ち去りたいぐらいだけど、もし誰かに見られでもしたら、さすがに不審に思われるだろう。
何事もなかったかのように振る舞おうと、気持ちを落ち着かせて、もう一度日吉の方を見る。



「っ!」



だけど、それは失敗に終わった。
日吉を見ると、動揺している私を見て、楽しそうにニヤリとしていた。
そんな日吉を見たら、余計に動揺するに決まってるじゃない・・・・・・!

結局、私は少し小走りでその場を離れた。
これ以上不審に思われないよう、表情だけでも戻そうと意識したけど、口元がゆるゆるになっているのを感じる。
こんなところを忍足さん辺りにでも見られたら、何かと面倒なことになりそうなのに!
それでも、やっぱり嬉しいものは嬉しい。
・・・・・・本当、の言うとおり、私の気分はこうも簡単に、日吉に変えられちゃうね。













 

日吉くん、お誕生日おめでとう!
何とか、間に合った・・・!本当、ギリギリでした(苦笑)。

今回のテーマは「やっぱり」。
乙女ゲーとかでも、「やっぱりお前といると落ち着く」みたいな台詞とか、好きなんですよね(笑)。
でも、自分じゃ、上手く書けない・・・(苦笑)。

('18/12/05)